12/9(土)松本監督、熊篠慶彦さん 登壇舞台挨拶決定!

無謀だなんて、誰が決めた?

  • リリー・フランキー
  • 清野菜名

パーフェクト・レボリューション

泣いてもいい、笑われてもいい。障害なんて二人で超える。革命は起こせる。

大ヒット上映中!

生まれも性別も、職業も能力も、お金も年齢も、幸せには関係ない。

世界に証明するの。本当の幸せを!

ちいさな星のちいさなふたりが
大っきいLOVEを抱きしめる話です。

峯田和伸(銀杏BOYZ)

INTRODUCTION

障害のあるふたりは、まわりに立ちはだかる壁を
ぶち壊して、“完全なる革命”を成し遂げようとする。

「身体障害者だって恋をするし、セックスもしたい!」。重度の身体障害があり、車椅子生活を送りながら、障害者への誤解を解くために活動するクマ。彼と恋に落ちたピンクの髪の美少女ミツは、精神的な障害を抱えた風俗嬢だった―。主人公のクマに扮して渾身の名演を見せるのは、『そして父になる』『凶悪』『野火』『SCOOP!』などの話題作に出演し、数々の映画賞に輝いてきたリリー・フランキー。ミツをどこまでも魅力的に演じるのは、『TOKYO TRIBE』のヒロイン役で脚光を浴び、映画やテレビで鮮烈な演技を披露する清野菜名。ふたりの恋をそばで見守る仲間たちを小池栄子、岡山天音、余 貴美子ら、演技派のキャストたちが演じている。

企画・原案は、講演やイベントなどさまざまな活動を通じて、障害者の性を訴えつづける活動家・熊篠慶彦。彼の実話にもとづく物語を、『最後の命』の松本准平監督がポップに力強く映画化。熊篠の長年の友人であるリリーは、彼の活動と生きざまが映画になると聞き、役柄を問わず協力したいといって本作への参加を決断している。さらに、劇中に流れる銀杏BOYZの名曲「BABY BABY」は、リリー自ら銀杏BOYZ峯田和伸氏に「あの曲を使わせてくれないか」とオファー。楽曲の世界観がクマとミツの関係性を見事に表現している。

STORY

泣いてもいい、笑われてもいい。
障害なんて二人で超える。革命は起こせる。

クマは幼少期に脳性麻痺を患い、手足を思うように動かせず車椅子生活をしている。ただし彼はセックスが大好き。身体障害者にとっての性への理解を訴えるために活動している。そんな彼が、ある日、美少女・ミツと出会う。障害者であるにもかかわらず生き生きと生きているクマに、ミツは「あなたとわたしみたいなのが幸せになれたら、それってすごいことだと思わない? 」「それを世界に証明するの!」。どんな不可能も可能にする、ハチャメチャだけど純粋な、クマとミツの“最強のふたり”のラブストーリーがいま始まる!

CAST

  • リリー・フランキー

    リリー・フランキークマ・45歳

    1963年11月4日生まれ、福岡県出身。
    武蔵野美術大学卒。イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。初の長編小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は2006年本屋大賞を受賞し230万部を超え、絵本「おでんくん」はアニメ化。音楽活動では、総合プロデュースした藤田恵美「花束と猫」(ポニーキャニオン)が“第54回 輝く!日本レコード大賞”において優秀アルバム賞を受賞。俳優としては、映画『ぐるりのこと。』でブルーリボン賞新人賞、第37回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞(『そして父になる』)、優秀助演男優賞(『凶悪』)ほか多数の映画賞を受賞。16年にも第40回日本アカデミー賞、第59回ブルーリボン賞でそれぞれ優秀助演男優賞を受賞。17年は、本作だけでなく『美しい星』(吉田大八監督)『一茶』(吉村芳之監督)と主演作3本をはじめ、そのほか複数作品が公開される。

    コメント

    友人の熊篠の今までの活動と生きざまが映画になると聞き、どんなカタチでも参加したいなと思いました。主人公は障害者でも、この映画はすべての人々が持つ障害と愛の物語です。

  • 清野菜名

    清野菜名ミツ・25歳

    1994年10月14日生まれ、愛知県出身。
    2007年に雑誌でモデルデビュー。モデルとして活躍後、女優として活動をはじめる。14年に映画『TOKYO TRIBE』(園子温監督)のオーディションを経てヒロインに抜擢。ヨコハマ映画祭2015最優秀新人賞、ジャパンアクションアワード2015優秀女優賞を受賞。
    押井守監督作『東京無国籍少女』(15)で映画初主演を果たし、ジャパンアクションアワード2016最優秀女優賞を受賞。16年には「まかない荘」でTVドラマ初主演を務め、17年は舞台 劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season花 、映画『暗黒女子』(17)、ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日)他、に出演し、舞台、映画、ドラマ、CMなど様々なジャンルで活躍している。

    コメント

    台本を読んだ時、素直に『すごく面白い』と感じました。役としてはとても難しさを感じましたが、松本監督と熊篠さんにいろいろ聞きながら、自分が感じたまま思い切り演じました。この時、ミツとあたしは一心同体だったと言い切れます。リリーさんとすごくナイスなコンビだったと思います。 あんなに自分が一直線に突き進んでるのは初めての感覚でした。ありがとうございました。みなさんにぜひ見ていただきたいです。

  • 小池栄子

    小池栄子恵理・36歳

    1980年11月20日生まれ、東京都出身。
    1998年ドラマデビュー。テレビ・映画・舞台・CMと幅広く活躍。舞台「グッドバイ」にて第23回読売演劇大賞最優秀女優賞受賞。近年の映画出演作として、『彼らが本気で編むときは、』(17年/荻上直子監督)『ちょっと今から仕事やめてくる』(17年/成島出監督)など。主演作『接吻』(08年/万田邦敏監督)で毎日映画コンクール女優主演賞、『八日目の蟬』(11年/成島出監督)と『RAILWAYS愛を伝えられない大人たちへ』(11年/蔵方政俊監督)では、キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞を受賞。

  • 岡山天音

    岡山天音悟・27歳

    1994年6月17日生まれ、東京都出身。
    09年、NHK「中学生日記 転校生シリーズ」でデビュー。個性あるルックスと柔軟な演技で映像を中心に活躍。最近の主な出演作品は、『合葬』『死と恋と波と』(15)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』『ライチ☆光クラブ』『ディストラクションベイビーズ』『セトウツミ』(16)、『僕らのごはんは明日で待ってる』『ポエトリーエンジェル』『帝一の國』(17)など。今年はさらに『氷菓』『おじいちゃん、死んじゃったって』『神さまの轍 check point of the life』の公開が控えている。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」にレギュラー出演が決まり、auシリーズのCMも好評。今後の活躍が期待される若手俳優。

  • 余 貴美子

    余 貴美子晶子・60歳

    1956年5月12日生まれ、神奈川県出身。
    劇団「自由劇場」「東京壱組」を経て、映画・TVドラマへと活動の場を広げる。08年、第63回毎日映画コンクールにて田中絹代賞を受賞。さらに『おくりびと』(08)、『ディア・ドクター』(09)で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続受賞するなど、受賞歴多数。近年の映画出演作に、『あなたへ』(12)、『麦子さんと』(13)、『寄生獣』(14)、『繕い裁つ人』(15)、『後妻業の女』(16)、『シン・ゴジラ』(16)など。ジャンルにとらわれない数多くの作品に出演、日本映画界に欠かせない存在である。

丘みつ子 野中隆光 下村 愛 保苅やす子 増田俊樹 林 和義 池端レイナ 石川 恋 榊 英雄 / 螢雪次朗

STAFF

  • 松本准平

    監督・脚本: 松本准平

    1984年、長崎県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院建築学専攻修了。吉本総合芸能学院(NSC)東京校12期生。カトリックの家庭に生まれ、幼少期からキリスト教の影響を強く受ける。NPO法人を設立し映像製作を開始。2012年、劇場監督デビュー作となる『まだ、人間』を発表。続いて14年、作家・中村文則の小説を原作とした『最後の命』を監督。同作でNYチェルシー映画祭・最優秀脚本賞を受賞。16年には第40回香港国際映画祭で審査員を務めた。

    コメント

    「障害者の映画をつくれませんか?」5年前、友人である熊篠さんにそう相談されたことがこの企画のはじまりでした。障害を題材にするなら、明るく、楽しい、ポップな、希望あふれる映画にしたい。難しい作業でしたが、ご本人の実話を基にすることにした途端、物語が勝手に紡がれていくのを感じました。大切な友人から預かった、特別なラブストーリーを、最高のキャスト・スタッフで届けられることに歓びを感じています。まっすぐに生きるクマとミツから、元気と勇気を受け取ってもらえると嬉しいです。

  • 熊篠慶彦

    企画・原案: 熊篠慶彦

    1969年、神奈川県生まれ。特定非営利活動法人ノアール理事長。
    出生時より脳性麻痺による四肢の痙性麻痺がある。
    医療、介護、風俗産業など、さまざまな現場で障害者の性的幸福追求権が無視されている現状に突き当たり、ノアールの活動を通して身体障害者のセクシュアリティに関する支援、啓発、情報発信、イベント・勉強会などを行っている。
    2001 「たった5センチのハードル」ワニブックス
    2002 AV「障害者の性~SEX~」MOODYZ 企画・出演
    2012 「身体障害者の性活動」三輪書店
    2012 NHKバリバラ「障害者の性①」セックスの悩み 制作協力

    コメント

    人生最後の、最大規模の打ち上げ花火です。
    思い出(という冥土の土産)をいっぱい作ります。
    プライバシーの切り売りなんで、「公私混同」という批判は受け付けません(笑。

    ハイスペック車椅子解説

    解説を開く

    撮影で使われた車椅子は、くましのさんの愛車「赤い彗星」。
    そのハイスペックカスタム!こちらにご紹介します。

    くましのさんの愛車「赤い彗星」
    • 車幅 : 25インチ=63センチ
    • 全長 : 33インチ=83センチ
    • 高さ : 47インチ=120センチ
    • 重量 : 270ポンド=120kg
    • 最高速度 : 時速8マイル
    • 航続距離 : 25マイル=40km
      (満充電、平面、直進で)
    • ● 背もたれの電動リクライニング
      ● 左右の肘掛けが跳ね上げ(可動)式
      ● 左右のパイプ(テンガのステッカーの部分)
      ↑この3つを組み合わせると車椅子上で、座位、騎乗位が可能

    • ● 熊除けの鈴2つ
      モーター音が静かなので
      存在を誇示するため

    • ● LEDとパトライト

    • テンガステッカーのパイプの下

      ● テンガステッカーのパイプの下
      横向きのパイプ2本を引き出すと
      ちょっとした腰掛け、椅子になる

    • ● 足台を既製の付属品ではなくチェーンにしているのは、
      ラブホなどの奥行きのないエレベータに乗れるようにするため

    • ● ナンバープレートは、
      期限切れのアメリカのバイク用

      ナンバープレート
    • ● タンデム(二人乗り)用の台車

    • ● ドリンクホルダー3つは
      バイク用を流用
      飲料2と灰皿用

    • ● コントローラーの赤い部分は、
      自動車用品のリアワイパー
      アクセサリーを流用

      コントローラーの赤い部分
  • 熊篠慶彦

    劇中曲: 銀杏BOYZ

    2003年1月、GOING STEADYを解散後ボーカルの峯田和伸が銀杏BOYZを結成。13年11月、安孫子真哉、チン中村がバンドを脱退。同年12月、村井守がバンド脱退を発表。現在は峯田和伸1人で活動を行なっている。17年までにオリジナルアルバム3枚とライブリミックスアルバム1枚を発売。17年10月13日にバンド初の日本武道館公演が決定。それにむけて7月から3ヶ月連続でシングルを発売。なお峯田はバンド活動の傍ら、最近ではNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」に出演。他にも映画や舞台に出演し、役者としても活動の幅が広がっている。

    コメント

    ちいさな星のちいさなふたりが
    大っきいLOVEを抱きしめる話です。
    ーー峯田和伸(銀杏BOYZ)

  • 熊篠慶彦

    エンディングテーマ: チーナ

    ピアノヴォーカル、ヴァイオリン、コントラバス、ギター兼マイクロコルグ、 ドラムの5人グループ。
    2015年5月より「チーナフィルハーモニックオーケストラ」として総勢15人編成の活動もスタートさせ、チーナやチーナフィルで数々のライブや野外イベントなどに参加している。また、日本だけではなくカナダ、台湾でもツアーを開催。海外にも多くのファンを持つ。16年12月にチーナ、チーナフィルハーモニックオーケストラのCDを同時リリース。

    コメント

    最高に最高な恋愛映画。最初観た時になんて良い映画なんだ…!と思ったけど、今もう一回改めて観て、やっぱりエネルギーに溢れためちゃくちゃに素晴らしい作品でした。エンディングテーマで作品に関われた事をとても光栄に思います。
    ーー椎名杏子(チーナ)

  • RUDE BONES

    劇中曲: RUDE BONES

    SPECIALS、FISHBONE等に影響を受けRUDE BONESを94年結成。
    日本の元祖SKA COREバンドとして、Hi-STANDARD、SUPER STUPID、COKE HEAD HIPSTARS、SCAFULL KING、BRAHMANらと活動、AIR JAM98なども出演。同時期に米国ツアーも敢行、後に米国MOONよりCDデビュー。99年AVEX/CUTTING EDGEよりメジャーデビューしLA録音などを行い滞在期間にMIGHTY MIGHTY BOSSTONES,FLOGGING MOLLYと共演。 その後も国内、海外共に精力的に活動し2003年には1ヵ月半の欧州ツアーやBEAT CRUSADERSとのsplit盤発売。2008年には、結成15周年を記念してDEM BONES~The Greatest Hits Album~発売。2013年20周年イベントも行い現在に至る。そして来年いよいよ25周年のため、8枚目の新作アルバムを現在制作中。

    コメント

    革命は起こせる!
    ポップでリズミカルに進むストーリー
    でも、内には熱く力強いメッセージが込められてるクマとミツから目が離せませんでした!
    楽曲で、この作品の一部となれて嬉しいです!
    ーー大川裕明(RUDE BONES)

PRODUCTION NOTE

障害者の映画をつくる

熊篠さんと初めて会ったのは、2012年の秋頃だったと記憶しています。身体障害者の方とまともに話したことはなかったし、名刺の受け渡しやお茶を出すかどうかなど、些細なことで戸惑った覚えがあります。「障害者の映画を作りたい奴がいる」そんな理由で紹介してもらったにも関わらず、その時は実際の障害についての話ばかりで、映画のことはあまり話さなかったと思います。全く親近感のない障害者というテーマは、僕にはとてもハードルの高いことだと感じていました。

そんなわけで、突破口はお会いしたことのある障害者=熊篠さん以外にはあり得ませんでした。たまに会って企画会議がてらお茶をするようになりましたが、なかなか良い企画は生まれませんでした。一度「彼女を紹介する」と誘われ、当時の彼女を含め3人で食事しました。その彼女がミツのモデルになることになります。ぶっ飛んだトンデモなく面白い方と聞いていましたが、実際は彼氏を立てるように口数少なく、小さくて可愛らしい人だな、という印象でした。

「彼女と別れました。そろそろ本格的に進めたい」と連絡があったのは、それから暫く経った2014年の頭でした。彼の熱意に乗って、再度企画に挑戦することになります。障害者の映画というネガティブな重いイメージを、どう軽やかに切り抜けエンタテイメントにするのか。熊篠さんとの長い時間の共有は、知らず知らずのうちに、障害者についての視座を育ててくれていたように思います。障害者を社会的弱者としてではなく、普通の人間として描きたいという想いが湧いていたのは確かです。

障害者の映画をつくる

不可能を可能にしろ

しかし改めて監督をするとなると、作品に対して相応の責任が発生します。僕が監督する理由のようなものが、模索するにつれてわからなくなっていくのを感じました。ただ、当時子供が生まれたばかりというのもあり、これまでの自分の作品とは一線を画すべきだとは感じていました。これまで描いてきた人間の罪などのテーマは捨てて、ただひたすら希望を描きたいと思っていました。

はっきり覚えています。小さな赤ん坊を抱きながら、仕事もなく、脚本に悶々としながら、真っ昼間に、録画したテレビ番組を見ていた時のこと。ある天才小児科医を追った話でした。ポンと出てきたテロップに次の言葉がありました。「不可能を可能にしろ」。その瞬間に、この映画のテーマがはっきりと見えてくるのを感じました。「不可能を可能にする」それこそが障害を題材にしたこの映画のテーマであり、今の自分のテーマでもあるのだとはっきりわかりました。

二人の活動を改めて徹底的に調べ直し、「革命」というキーワードを見つけ、「不完全な二人が完璧な革命をする話」にしようと決めました。実話に脚色を加えて、ヒロインを人格障害と設定し(許諾してくださった時はホッとしました!)、障害者同士のラブストーリーにしました。この映画は不可能を可能にする革命の映画であり、僕もこの映画で自分自身を革命するべきだと直感的に覚悟しました。

不可能を可能にしろ

幸運なキャスティング

リリーさんは、熊篠さんとの伝があり、2014年の夏頃からオファーをしていました。出演が決まった後、脳性麻痺の役作りはとても難しいと思い、「手とかどうします?」と聞いたら、すぐに「熊篠のまんまですよ。当然、歪ませていきます。」と仰ってくださり、真正面から勝負するんだな、と身の引き締まる想いを感じたのを覚えています。

ミツは、初めから清野菜名さんが気になっていました。ミツは暗い過去を持つ設定ですが、紋切り型にそれを反映させてはダメだと思っていました。当時下北沢にテレビドラマのポスターが貼ってあって、たまたまその横を通り過ぎた時に、二度見したのを覚えています。清野さんの屈託のない笑顔を見て、彼女であれば、傍若無人にポジティブに世界を変えていくミツの感じが出るのではないかと思いました。お手紙を書いてオファーし、OKしてくれた時は、とても嬉しかったです。

小池栄子さん、余貴美子さん、岡山天音さんをはじめ、その他本当に最高のキャストに揃って頂きました。

不可能を可能にしろ

ポップな映画に

目指していたのは、アメリカ映画です。作り手側の過剰な表現を避けて、ポップにストーリーテリングすることが課題でした。撮影監督とはカットバック中心になることを恐れず、「普通」のカットを贅沢に撮ろうと話し合いました。カラフルな映画にすべく、衣装でクマとミツの世界を作っていただき、キャラクターを強くするためにも清野さんにはピンク髮にしてもらうことにしました。音楽は劇伴も歌モノも、それ自体を楽しめるぐらい面白いものにしようと試みました。

現場ではリリーさんと清野さんが本当にナイスコンビで、カメラが回っていない時も常にクマとミツのようでした。周囲からは意味不明な(!?)会話で盛り上がっていて、二人だけの独特の世界が形作られていったようでした。熊篠さんを中心に主演や監督が集まったということもあってか、現場の熱はとても高かったように思います。

ポスプロも順調に進み、ダンスシーンの歌も、リリーさんに推薦していただいた銀杏BOYZさんが見事にはまり、映画は完成しました。

ポップな映画に

革命は起こせる

作品は障害者の映画ですが、実はこのプロジェクト自体も、企画から公開に至るまで、作品に負けず劣らず障害だらけでした。障害者という題材、そしてそのラブストーリーという内容だけに、なかなか理解してもらえなかったこともありました。しかしこの間、頻繁に僕が言い聞かせていたのは、自分で書いた劇中のこの台詞でした。「障害は私たちのためにある。私たちが愛し合うために。私たちが生まれ変わるために。私たちが不可能を可能にするために。」そんな逆説に向かって突き進んできた作品を、障害を理由に僕ら自身が諦めるわけにはいきませんでした。そして「この映画を届けたい」という想いが、僕や熊篠さん、プロデューサー陣から、消えることはありませんでした。

一人の脳性麻痺の障害者と、無名の映画監督から始まった、『完璧な革命』は、多くの方々の力を借りて大きくなり、そして間もなく完成します。しかし映画の公開は、また新たな門出でもあります。新しい革命が、この映画を見てくれた皆さんの中で始まってくれれば幸いです。

DIALOGUE

  • 熊篠慶彦
  • リリー・フランキー

――おふたりの出会いはいつ頃にさかのぼりますか?

リリー
10年近く前になるのかな。幕張で「アダルトトレジャーエキスポ」というイベントがあって、俺は客として行ってたんです。そうしたらTENGAの人たちが、障害者の性に関する活動をしてるんですって、熊篠くんのことを紹介してくれて。すごく大事な活動だなと思いましたね。それから何度も会ったり、一緒に仕事したりしていて、車椅子に乗ったクマのイラストも映画のためではなく、熊篠くんがやってるNPO法人「ノアール」のイメージキャラクターとして前に描いてたんです。
熊篠
ノアールが設立5周年の時、TENGAさんが冠スポンサーの懸賞コンテストをやって、それを記念してリリーさんにイラストを描いてもらったんですね。
リリー
そんな熊篠くんの物語がこうやって映画になって、俺が出させてもらうなんて、感慨深いものがありますよ。
熊篠
まさかこんなことになるとは思ってなかったです(笑)。

――映画の企画はまず熊篠さんと松本准平監督のふたりが立ち上げたんですよね?

熊篠
本編の法事のシーンに出ている従兄弟役の増田俊樹さんがふたりの共通の知人で、最初は知り合いの映画監督がネタを探してるって紹介されたんです。そこから、すごくはっちゃけた彼女と付き合っていて、実はソープ嬢でみたいな話をしたら、監督がそれ面白いですねって。本格的に動き出したのは彼女と別れた後でしたね。別れを吹っ切るつもりでって言うとあれですけど(笑)。最初はドキュメンタリーか、エンターテイメントかっていう方向性についての議論もありましたけど、最終的に間口の広いエンタメ路線で行こうっていうことになりました。
リリー
こういうテーマの映画は辛気臭くなりがちだけど、後半はファンタジーになっていて、障害者が主人公のファンタジーがあってもいいんじゃないかと思いますよね。公園でキスするシーンとか、最後にふたりをハートで囲んだりして、これ正気かと思いましたけど(笑)。
熊篠
ははははは
リリー
あれはそんなにかしこまらないで観てくださいっていうサインですよね。
熊篠
そうそう、そうなんです。夏の黄色いTシャツの番組みたいに、障害者と向き合う時はどうしてもかしこまらないといけないような風潮がありますけど、そんな必要は全然ないんだよって
リリー
映画も深刻に描いたからって深く掘り下げられるとは限らないし、こうやってエンターテイメント寄りに作ってみたほうが届くこともありますよね。(清野)菜名ちゃんと話したけど、例えばミツの役はこれくらい痛さが伝わるほうがいいよねって。実際にいたら激痛の女じゃないですか(笑)。でも菜名ちゃんが演じることですごくポップなキャラクターになったと思うし。
熊篠
いや、菜名ちゃんだったらどんなに痛くても大丈夫です(笑)。

――クマは熊篠さんをモデルにしたキャラクターですが、身近な人を演じるのはどんな感覚でしたか?

リリー
他の映画と比べてすごく楽でしたね。
熊篠
ええー、そうですか?
リリー
何が楽って、ずっと座っていられるから。移動も楽だし。
熊篠
そりゃそうですよね(笑)。
リリー
でもクマの内面とか、脚本に書かれている以上に、熊篠くんに寄せてると思いますよ。あまり感情的になることがないし、淡々として常識人っていう。
熊篠
営業妨害だ(笑)。
リリー
いや、オナニー動画をアップしたりしてるけど、いたって真面目だし、ちゃんとしてるんです、この人。撮影にエキストラで来ていた熊篠くんの知り合いは、俺のことを見て、手のかたちが熊篠くんと一緒で素晴らしいって言ってましたけどね。

――熊篠さんは自分のことを演じているリリーさんを見るのはどんな体験でしたか?

リリー
きっと照れ臭かったと思いますよ。映画『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』で俺のことをオダギリジョーさんが演じてくれた時は、本当に申し訳ないなと思って(笑)。ドラマ版の(大泉)洋ちゃんならまだしも。
熊篠
まあ、確かに照れ臭かったですね。あと何ていうのかな、自分の手がスチールカメラのモニターに映し出されるシーンがあるじゃないですか。自分の身体感覚としては、この状態で肘も手首もまっすぐなんです。それは自分の目線から見れば違和感ないんですけど、例えばショーウィンドウに映った自分を見たりすると、うわー、重度の障害者だなって。だから客観視するのはなんとなく抵抗があるんですね。
リリー
俺と熊篠くんは顔も似てるしね。この役を山田孝之くんがやってたら客観視できたと思いますよ(笑)。さぞ上手かっただろうけど。

――銀杏BOYZ「BABY BABY」が挿入曲として使われていますが、これはリリーさんみずから銀杏BOYZの峯田和伸さんに楽曲使用を相談したそうですね。

リリー
「永遠に生きられるだろうか 永遠に君のために」っていう歌詞が、クマとミツの関係性にすごく合ってると思ったんですね。それで峯田くんに電話して、あの曲を使わせてくれないかって言って。ミツみたいなタイプの女の子が好きであってほしい曲ですよね。

――映画の中の好きなシーンを挙げてもらうとしたらどこですか?

熊篠
始まってから22、3分頃、ミツが「クマピー大好き」って言うシーンの、あの声の掠れた感じですかね。
リリー
細かいよ(笑)。映画として大事なシーンだと思うのは法事のシーンですよね。障害者を家族に持つ人たちの生活だったり気持ちだったりがしっかり描けていて。
熊篠
あれはかなりリアルですね。
リリー
俳優さんたちもリアルですごくいいシーン。最後に菜名ちゃんが寿司を投げつけるのはアドリブで、寿司がいい張り付き方したんですよね。ネタが壁に一枚だけ残って。
熊篠
マグロがね(笑)。
リリー
おー、すげえじゃんって(笑)。まあ、『パーフェクト・レボリューション』っていうタイトルに決まった時は、やけに大風呂敷広げたなと思いましたけど、やっぱり恋愛映画として観てもらうのが一番いいと思いますよ。
熊篠
何割かは実話なので、当の本人としてはこれが本当に面白いのかどうかわからないですけど(笑)。
リリー
セリフの端々には熊篠くんが活動を通じて言わんとしていることも反映されているし、面白い映画を観にいったついでに、障害者の性に関することも理解できる。障害者の問題をこういうふうに扱った映画があるということは、すごくいいことだと思いますよね。

COMMENT

  • 「難しい」問題に向き合った作品。作品の中で何度も「無理だ」という言葉が出てくる。でも今実現されてる現実は、かつて「無理だ」「難しい」と言われてきたものなんじゃないだろうか。
    諦めのプロフェッショナルが挑む戦いの映画。

    SEKAI NO OWARI Fukase(ミュージシャン)

  • 障害者は私達の感動のためとか、目標のために存在するわけじゃない。いつか本当の愛に巡り合うための彼らの挑戦は、決して特別じゃない。同じことに悩み苦しみ、そして同じことに幸せを感じる。私達はきっとみんな不完全だから。

    フィフィ(タレント)

  • 『愛のコリーダ』や『ベティ・ブルー』とか、クレイジーな女とやさしい男の映画がどうも好きだ。ハチャメチャで愛らしくて、ずっとみていたくなる。

    下田昌克(絵描き)

  • 生まれついての重度の障害。主人公はこの理不尽を「受け入れることにかけてはプロですから」という構えにつなげた。
    彼のモデルである原作者とは古い仲だが、彼の社会的活動の奇跡的な果敢さの秘密を、映画に見出して、僕は戦慄した。
    足掻かず覚悟するからこそ、全て織り込み済みで前に進む。
    障害者のエロにうろたえるヘタレは、映画を観て死んじまえ。

    宮台真司(社会学者)

  • 何を軸に描こうが『主人公が熊篠慶彦である』映画の企画を知った時、この事実が価値だわ、と私は思った。リリー・フランキーが身体のフォルムは勿論、クマを内側から誠実に表現する。屈託のない表情と躍動感のある所作でクマの周りを走り回る清野菜名演じるミツ。実力派俳優陣が物語の中で自分の立ち位置をしっかりと成し囲む。最高ですか!このキャスティング。愛しの峯田さんの「BABYBABY」流れてるし。このセレクトセンス、どちら様が?
    あ、リリー・フランキー様。納得。もう観ろ!としか言えない。善し悪し関係無く感じたものを全部大切に持ちかえってもらうだけでいい。

    森山風歩(作家・モデル)

  • 映画を見て、障がいは麻痺などではなく、結局ハートの持ち方なんだなって思います。
    この映画を、自分にダメ出ししている障がい者やその方々に関わるリハビリテーション医療者の皆様に是非お勧めします。

    玉垣 努(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)

  • 主人公の見慣れぬ毎日の暮らし方に思いを馳せていたはずが、いつからか自分の恋人のことを思い出していた。

    高石宏輔(カウンセラー・作家)

  • 映画の魂は、「何を撮るか」ではなく「何故撮るか」だ。この映画には、魂がある。

    晴佐久昌英(カトリック司祭・映画評論家)

  • 言葉は僕らが思っているよりも強い凶器だ。社会の障壁はわからないことは多いけど、映画の中で描かれているドリーミーで前向きな世界観は余計な理屈無しに楽しんで良いんじゃないか?だってそれが映画だから。

    栗原 類(モデル・俳優)

  • この映画の内包している熱気が好きです。リリーさんは「クマピー」を演るために役者になったんだね!

    安藤玉恵(女優)

  • 障害者版シド&ナンシー!

    吉田 豪(プロ書評家、プロインタビュアー)

  • 恋愛は諦めてるんだ、クマの言葉が胸に刺さった。
    2人なら越えられるどんな壁も!そう願わずにはいられない。

    吉沢明歩(セクシー女優)

  • テーマから予想していたものと全く違う、120%の、スペシャルな恋愛映画。

    中村文則(小説家)

  • やったぞ、やれるぞ、二人が動けば、世界が動く、そんな思いを強くするエンパワー映画!!
    みんな弱くて、みんな強くて、みんな潔くて、みんな狡くて、でもでもそれでいいんだ!
    そんな気持ちで一杯になる栄養増強剤映画。飲む(観る)しかない。

    岡原正幸(慶應義塾大学文学部教授)

  • 解決でけへん問題はない!
    不可能を可能にする!当たり前!

    玄 秀盛(歌舞伎町駆け込み寺)

  • クマとミツを乗せた車椅子は、障害という枠を軽々と飛び越え、人を愛することの尊さを、改めて気付かせてくれる。
    僕ら一人一人の革命は小さなものだ。でもそれが合わされば、世界はきっと完璧な美しさを手にすることができる。

    ト部敦史(映画監督)

  • 熊篠さんとは10年以上の付き合いだけど最初から「魅力的な障害者」という認識はほぼなくて、単純に「男として魅力的」な人だった。それは今でもまったくブレてない。なので、こういうカタチで熊篠さんの生き様が残ることは痛快だし、とても嬉しく思います。

    佐々木誠(映像ディレクター)

  • 「個性的」という言葉ではおさまりきらない登場人物たち。時には「なんでやねん?」と突っ込みたくなる展開。とにかく面白い。
    障害者と性/障害者の性はもちろん、障害者と家族/障害者の家族、障害者イメージの構築などさまざまなテーマが描かれている。
    この作品を観たあとは、街の風景がこれまでとは違って見えてくるだろう。

    草山太郎(追手門学院大学地域創造学部准教授)

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